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#101ローラースケートフィギュア選手
岩片里会子さん

ローラースケートフィギュアを
多くの方に知ってほしい


 ローラースケートフィギュアのフリースケーティング全日本大会優勝者の岩片里会子さん。連続優勝を更新し続けている、目下無敵の強者です。でもあまり耳馴染みでない…? どんなスポーツなのでしょう。

「簡単にいえば、氷上を滑るフィギュアスケートのローラースケート版です。リンクの大きさは25m×50m。アイスリンク30m×60mより少し小さめですが、その広さを目一杯使って演技をします。世界大会もあるんですよ。シングル、ペア、ダンスの種目があって、シングルにはフリーと、規定の図形をスケートで描くコンパルソリーがあります」

 ローラースケートは初心者でも滑れますか?

「基本的には歩ける方なら大丈夫です! クワッドというローラースケート靴は4輪のタイヤがついて立つことは簡単。でも、かかとに重心をかけると倒れやすいので、最初は転び方から練習をします。ヘルメットやひざ当てを装着しますから、怖がらずに気持ちを強く持てば、すぐに滑れるようになりますよ」

 岩片さんを見ていると、シェイプアップ効果も期待できそう!?

「ローラースケートフィギュアは全身運動で、回転技などもあり腹筋が鍛えられます。私はよく食べるしお酒も好きですが、お腹は一度も出たことはないですよ(笑)。きっと若い方でも、練習した翌日は筋肉痛になると思います」

 今後、ローラースケートを楽しむ方や、競技に参加する方が増えていくといいですね。

「現状では選手やコーチの人数が少なく、なにより練習場所が足りないと感じています。ローラースケート場は練馬総合体育館のほか、都内に数か所しかありません。母がコーチをする『練馬アーティスティックローラークラブ』では、選手権クラスがあり、私もときどき指導にあたっているんですよ」

 ローラースケートフィギュアの認知度をもっと上げたい、と岩片さんは目を輝かせます。



負けず嫌い、頑固な性格…
母への反発と感謝の思い


「幼稚園生のころ母に連れられて、ローラースケートフィギュアの世界大会を見に行きました。選手の衣装からこぼれたスパンコールがキラキラしてとてもきれいで、拾い集めてました。ここが私の転機だったかも(笑)」

 なんとも子どもらしいエピソードですが、そこから岩片さんのローラースケート人生が動き出しました。小学1年生のときに、谷原の練馬総合体育館にローラースケート場ができたことを今でもよく覚えているそう。

「小学生当時は、母、いえ鬼コーチ(笑)から『練習しなさい』と言われると、逆にやる気がなくなって。毎週土日は朝から練習で容赦なく厳しくて、『もう、やめる』と言ったことは何度もあります。でも、そうしなかったのは、仲のいい友だちがたくさんいたから。練習で会うのが楽しかったんです」

 中学3年生のとき全国大会で優勝。その達成感や満足感は今でも忘れられないと言います。

「優勝の経験からはずみがついたというか、練習がとても楽しくなりました」

 スピンや回転ジャンプなど、より高いレベルを目指して練習するなか、高校時代はアメリカ留学を果たします。

「英語はもともと得意な科目でしたが、生活するとなると結構大変でした。ローラースケートフィギュアに明け暮れる毎日で、母以外のコーチにつくのも初めての経験。開放感を感じる一方で、母への感情を冷静に見つめ直す期間だったと思います」

 得意なジャンプはダブルアクセル。挑戦しているのは、後ろ向きで右の脚を前に振り上げて3回転ジャンプをするトリプルサルコウ。ご自分の性格は「負けず嫌い、頑固」と分析しますが、アスリートには大切な資質かも知れません。

 もうすぐ練馬総合体育館で全国大会が開催されます(以下参照)。岩片さんの純粋で清々しい笑顔と、ローラースケートフィギュアの迫力と美しい演技を間近で見るチャンスですよ!

第41回全国フリースケーティング競技会
 3月28日(土)・29日(日)
 午後1時から日没まで
 練馬総合体育館ローラースケート場
(練馬区谷原1-7-5)

(2015年3月4日)

世界選手権大会フリー競技 ショートプログラムエンディング (撮影:Raniero Corbelletti)

クワッドという4輪の ローラースケート靴で競技します (撮影:Raniero Corbelletti)

アジア選手権大会では、 総合とコンパルソリーで優勝! (写真提供:岩片さん)

しなやかで、力強い筋肉美 (撮影:Raniero Corbelletti)

難易度の高い大技! (撮影:Raniero Corbelletti)

子ども時代から ほとんどの衣装は母親のお手製。 上記の写真の衣装も! (撮影:Raniero Corbelletti)

子どもの頃から通い続けている 練馬区総合体育館。 右手奥にローラースケート場が あります

小学生のとき、おやつに 明太子ご飯を3杯ペロリ! 今でも大好物とのこと

プロフィール

岩片里会子さん

岩片里会子さん

いわかたりえこ 1987年生まれ、練馬区在住。全日本ローラースケートフィギュア選手権大会10年連続13回優勝。練馬アーティスティックローラークラブ所属。父母はローラースケートフィギュアの指導者、兄はローラスケートホッケーの選手として活躍する一家。両親のコーチのもと幼少期より練習を開始。高校の3年間はアメリカオハイオ州に留学。現在は、練馬総合体育館の受付業務と地元ホテルのビア・レストランでアルバイト。資金が貯まると年に1度はローラースケートフィギュアが盛んなイタリアやアメリカへレッスンを受けに行く。練馬区内のお気に入りの場所は、石神井川沿いの桜並木。それと春日町の交差点から眺める富士山。大きくきれいに見えたときは、うれしい気分に。

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