特集記事 Reviews
#050 「レストランオリーブ」料理長
衣輪 吉弘さん
練馬野菜は甘い!
素材を活かす手間と技術
練馬といえば、都内でも有数の野菜の生産地。練馬産キャベツを使った「練馬野菜餃子食べ歩きキャンペーン」が11月11日~12月20日の期間限定で開催します! 区内15店舗が参加し、オリジナルの練馬野菜餃子が味わえます。その中でも異色を放つイタリアン餃子を提供するレストラン オリーブ料理長・衣輪(きぬわ)さんに、味のヒミツを伺ってきました!
「平たく伸ばしたラビオリ生地に芝海老のすり身と練馬産キャベツやネギを詰め、一口サイズにカット。コンソメスープを7時間かけて作り、芝海老のソースを香り付けにかけたら完成です。手間をかければ、化学調味料なんて必要ないんですよ。練馬漬物を添えることになっているので、当店ではピクルスを添えます。もちろん練馬産野菜を使用してますよ!」
手間ひまかけたイタリアン餃子は、自慢の逸品に仕上がりました。練馬産野菜の「甘さ」を引き出すのもコツだと言います。
「餃子以外の料理にも練馬産野菜を使っていますが、どれも甘さを引き出す工夫をしています。たとえばブロッコリーはゆでた後、クーラーとうちわで一気に冷ますと甘さが際立ち、そのまま食べても十分美味しい。キャベツは塩をまぶして水分を飛ばすんですが、食塩より岩塩のほうが甘さが出ます」
素材を「活かす技術」を心得ている衣輪さん。それらの技術は修行時代や、28年間のシェフ時代に体得したものでした。
「今は冷凍技術が進んで、肉の部位もブロックごとに届きますが、昔は縦半分にされただけの牛がそのまま届いたんです。それを、『もう何も出ません!』という限界まで使い切る。こういう経験が、引き出しを増やしてくれるんです。手間ひまを惜しんだら、料理人としての人生は終わりですからね」
機械まかせにせず、人の手で、文字通り「手間」をかける。便利な世の中になっても、ラクだけしていては人は成長できないのかもしれません。
料理人の基礎を伝える
熱くて厳しい指導
衣輪さんが料理長に就任したのは、今年9月のこと。店の常連だったオリーブオーナーからの依頼でした。このオリーブは、「障害者就労移行支援」を目的としたレストラン。利用者(働いている障害者のこと)が働きながら技術を身につけ、就職先を見つける手助けをするお店です。
「現在数名の利用者が働いていて、職業指導員がそばでサポートしています。我々の業界は毎日が『ライブ』なので、ミスをしてお客様の気分を害したら取り返しがつきません。これが次の就職先だったら、クビにされるかもしれませんよね。だからこそ私は厳しく指導しています。密かに恐がられているかもしれませんけどね(笑)」
厳格な指導は、すべて利用者が自分の力で生きていけるようにするため。厳しさの中に、真の優しさが覗きます。
「でも、この店の事情はお客様には無関係です。お客様はただ、美味しい料理を食べたいだけ。だからこそ原価率を上げてでも、味にはこだわっています。先日、『久しぶりに美味しいイタリアンをいただいた』とお客様から言われて、嬉しかったですね。この仕事は、お客様の評価がすべてですから」
「若いスタッフたちに私が持っている技術を伝えることも、使命だと思っています。たとえば冷凍物を解凍するだけの店で働いても、それしか学べません。一生チンする仕事しかできずに終わります。教えたいのは料理人としての基礎、つまり『型』です。肉の脂身のとり方、魚の下ろし方…など、基本を知っていればどこででも働けますから」
一言一言に、「食べてくれたらわかる」という自信がみなぎっている衣輪さん。彼が料理長に就任した1ヶ月で、売り上げは倍増したそうです。その味のほどは、ぜひ皆さんの舌でお確かめを!
(2010年11月5日更新)
素材を活かす手間と技術
練馬といえば、都内でも有数の野菜の生産地。練馬産キャベツを使った「練馬野菜餃子食べ歩きキャンペーン」が11月11日~12月20日の期間限定で開催します! 区内15店舗が参加し、オリジナルの練馬野菜餃子が味わえます。その中でも異色を放つイタリアン餃子を提供するレストラン オリーブ料理長・衣輪(きぬわ)さんに、味のヒミツを伺ってきました!
「平たく伸ばしたラビオリ生地に芝海老のすり身と練馬産キャベツやネギを詰め、一口サイズにカット。コンソメスープを7時間かけて作り、芝海老のソースを香り付けにかけたら完成です。手間をかければ、化学調味料なんて必要ないんですよ。練馬漬物を添えることになっているので、当店ではピクルスを添えます。もちろん練馬産野菜を使用してますよ!」
手間ひまかけたイタリアン餃子は、自慢の逸品に仕上がりました。練馬産野菜の「甘さ」を引き出すのもコツだと言います。
「餃子以外の料理にも練馬産野菜を使っていますが、どれも甘さを引き出す工夫をしています。たとえばブロッコリーはゆでた後、クーラーとうちわで一気に冷ますと甘さが際立ち、そのまま食べても十分美味しい。キャベツは塩をまぶして水分を飛ばすんですが、食塩より岩塩のほうが甘さが出ます」
素材を「活かす技術」を心得ている衣輪さん。それらの技術は修行時代や、28年間のシェフ時代に体得したものでした。
「今は冷凍技術が進んで、肉の部位もブロックごとに届きますが、昔は縦半分にされただけの牛がそのまま届いたんです。それを、『もう何も出ません!』という限界まで使い切る。こういう経験が、引き出しを増やしてくれるんです。手間ひまを惜しんだら、料理人としての人生は終わりですからね」
機械まかせにせず、人の手で、文字通り「手間」をかける。便利な世の中になっても、ラクだけしていては人は成長できないのかもしれません。
料理人の基礎を伝える
熱くて厳しい指導
衣輪さんが料理長に就任したのは、今年9月のこと。店の常連だったオリーブオーナーからの依頼でした。このオリーブは、「障害者就労移行支援」を目的としたレストラン。利用者(働いている障害者のこと)が働きながら技術を身につけ、就職先を見つける手助けをするお店です。
「現在数名の利用者が働いていて、職業指導員がそばでサポートしています。我々の業界は毎日が『ライブ』なので、ミスをしてお客様の気分を害したら取り返しがつきません。これが次の就職先だったら、クビにされるかもしれませんよね。だからこそ私は厳しく指導しています。密かに恐がられているかもしれませんけどね(笑)」
厳格な指導は、すべて利用者が自分の力で生きていけるようにするため。厳しさの中に、真の優しさが覗きます。
「でも、この店の事情はお客様には無関係です。お客様はただ、美味しい料理を食べたいだけ。だからこそ原価率を上げてでも、味にはこだわっています。先日、『久しぶりに美味しいイタリアンをいただいた』とお客様から言われて、嬉しかったですね。この仕事は、お客様の評価がすべてですから」
「若いスタッフたちに私が持っている技術を伝えることも、使命だと思っています。たとえば冷凍物を解凍するだけの店で働いても、それしか学べません。一生チンする仕事しかできずに終わります。教えたいのは料理人としての基礎、つまり『型』です。肉の脂身のとり方、魚の下ろし方…など、基本を知っていればどこででも働けますから」
一言一言に、「食べてくれたらわかる」という自信がみなぎっている衣輪さん。彼が料理長に就任した1ヶ月で、売り上げは倍増したそうです。その味のほどは、ぜひ皆さんの舌でお確かめを!
(2010年11月5日更新)
練馬野菜餃子
食べ歩きマップの表紙
練馬野菜餃子自慢大会に出品した
自信作のラビオリ餃子とピクルス
自信作を発表する衣輪さん
(練馬野菜餃子自慢大会の様子)
レンガ作りのお洒落な
外観が目印
静かで落ち着いた雰囲気の店内
カウンター席もあり、
お一人でも入りやすい
ソファ席もあり、
ゆったりくつろげる
地元・愛媛県八幡浜から
新鮮な食材を
安価で仕入れている
美味しいものを作り、
みんなと一緒に働き、
お給料をもらうことが
利用者の喜びだという
プロフィール
衣輪 吉弘さん
1954年、愛媛県八幡浜市で120年続く和食の老舗に生まれ、幼い頃から親について市場を回る。料理学校を卒業後、当時では珍しかったイタリアンレストランに就職。数年の修行後、地元・八幡浜市にお店をオープン。28年シェフを務めたのち、練馬のレストランオリーブの料理長に転身した。好きな場所は石神井公園。「本を片手に思索にふけるのにぴったりな場所」とのこと。
特定非営利活動法人 共生ネットワーク
レストラン オリーブ
http://www.kyousei-network.net/txt/olive.html