特集記事 Reviews

#039 「マルシェ ロロ」オーナー
ローラン・パケさん・リミコ・パケさん

「ねりコレ」で初めて
外国人シェフの『味』が仲間入り

 写真から幸せオーラを発しているのはフランス料理店「マルシェロロ」のオーナーシェフ、ローラン・パケさんと東野理実子さん夫妻。メニューの「ねりま産大根スープ」を今年の「ねりコレ」に応募して認定され、さらに外国人シェフ初! とあってマスコミなどからも注目されています。

 「マルシェロロ」は石神井公園駅近くにあり、赤い日よけが目印。こぢんまりとしながら、ゆっくりと食事を楽しめる空間です。まずは「ねりま産大根スープ」のメニュー考案の背景など、お聞きしてみましょう。

 「ご近所の方や友だちから大根を一箱とかたくさんいただくので、これはぜひフレンチメニューに…と考えてできた一品です。大根は辛い、甘い、苦いなど品種や部分によっても違うので、味の微調整が難しいです。お客様や知人から『ねりコレ』に応募してみたら、と声をかけていただいたのがきっかけです」とロロさんの英語を、リミコさんが通訳してくれました。

 味は大根を主としてタマネギ、ジャガイモがベースとなり、ビシソワーズよりもさっぱりとした味。ワサビを練り込んだ小さなパールがアクセントになり、ヘルシーでいてボリュームのある一皿です。地元の交流から生まれた「ねりま産大根スープ」は、ぜひ地元の方に味わっていただきたいと、お二人声を揃えます。



カナダ留学中に出会い、
飲食店未経験からママさんに!


 リミコさんがマルシェロロのママさんになるまで、一筋縄ではいかないキャリアをお持ちで、おもしろエピソードてんこ盛りです(笑)。かなり強引にかいつまんでご紹介すると、金沢から上京、大学卒業後は千代田区のヘビーな出版社で20代の青春を捧げる。このままではいかん、と大学院を受け合格し、在籍したまま30代で演劇の研究をしにカナダのトロントヘ。そこで5歳年下のロロさんに出会い恋に落ちる。日本に帰国したリミコさんを追って、半年後ロロさんが、♪包丁1本さらしに巻いて~来日。神社でシャンパンウエディングをあげ、シェフ嫁の幸せな宿命!?としてプラス10kgの脂肪を背負いつつ、会社を潔く辞めて、レストランの物件探しから数々の困難を乗り越えてオープンさせたツワモノなのです!

 詳しくはリミコさん著「ダーリンはフランス人、しかもシェフ」を一読されたし。それ以上でもそれ以下でもなく、飾らずにご自身を描写する文才もまた、さすが!

「アルバイトですら飲食店の経験がなかった私ですから、最初はもうイヤで不安だらけでした。お客様や周囲の方々に教えていただきながらやってきたという感じで、勉強の毎日です」というリミコさん。謙虚でいて正直、自由、大胆、コロコロ笑ったかと思うとキャリアウーマンの風格ものぞかせる個性的な女性で、ロロさんが惚れるわけです(笑)。



石神井公園が大好き
散歩の途中でバーに立ち寄る!?


「お店を開くときにこだわったのは、商店街とプチ郊外であることでした。彼はフランスのヴァンデー県出身で、私は金沢出身。二人とも田舎育ちですから、都心よりも石神井公園の雰囲気がとても肌に合ったんです」

 オープンからちょうど2年、地元にすっかり溶け込んでいるマルシェロロ。リミコさんが驚くほど、ロロさんはあまり日本語ができなくても商店街の人やお客様と仲良しとのこと(笑)。地元のお店から魚、野菜、コーヒー、お米などよい素材のものを提供してもらい、ロロさんはますますシェフ魂を燃えあがらせて頑張っているとのこと。商店街発展の好循環ですね!

 ロロさんに好きな場所を尋ねると、間髪入れずに「マルシェロロだよ」とのアンサー(笑)。そして、「石神井公園は自然がいっぱいで故郷のヴァンデーみたい。二人で散歩してバー(茶店のこと)で一杯飲みながら、ネコと遊ぶのが幸せなんだ」と続けました。

 ランチタイムのひと時。80歳過ぎたかくしゃくとした紳士が「いつもの」とオーダーし、ゆっくりとフレンチに舌鼓。帰り際にはロロさんに「今日もおいしかったよ。ありがとう!」といって握手&ハグをしていきました。そんな小さなワンシーンが、マルシェロロのことを大きく物語っているのでした。


(2009年12月1日更新)


さっぱりとした
「ねりま産大根スープ」。
フランスには大根はないので、
ロロさんオリジナルです!


「ねりま産大根スープ」は
2009年ねりコレ
認定されました。


マルシェロロの正面。
キッシュやタルトの
テイクアウトコーナーもあります。


テンポの良い文章で綴られた
リミコさんの著作。
行間から愛が溢れています!
ロロさんのレシピも
掲載されていますよ。
発行所:バジリコ(株)


ピスタチオグリーン、オレンジ、
イエローの内装は
明るくてカジュアル。


厨房で楽しそうに料理を作る
ロロさん。


基本的に、日曜日は
シャンソンディナーをやってます
(チャージなし)。


2009年の練馬まつり
「ねりコレ」ブースで出店したり、
石神井町福祉園のイベントに
参加したり、地域とのつながりを
大切にしています。


この表情から信頼し合っているのだな~という気持ちが伝わってきます。

プロフィール

ローラン・パケさん・リミコ・パケさん

ローラン・パケさん・リミコ・パケさん



ローラン・パケさん
Laurent Paquet。フランス西部のヴァンデー県出身。料理人の母にとともに6歳より料理に目覚め、14歳からプロの道へ。世界各国で修業し、カナダのトロントでヘッドシェフ、来日後は東京・荻窪の「ブラン・ド・ミュゲ」でヘッドシェフに。2007年11月、石神井公園駅近くにフレンチレストラン&デリカ「マルシェ ロロ」開店し、オーナーシェフに。

リミコ・パケさん
(日本名:東野理実子さん)
石川県金沢市出身。営業マン、編集者、ライター、コンサルタントなどを経て、フランス人シェフのロロさんとカナダで出会い、恋に落ち結婚。「マルシェ ロロ」のママさんとして日々奮闘中。「ダーリンはフランス人、しかもシェフ」本を出版、ブログも好評。

マルシェロロ
練馬区石神井町2-13-5-102
TEL&FAX 03-6763-0909
http://www.marchelolo.com

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