特集記事 Reviews

#035 ミュージシャン
児島 啓介さん

『負けっぱなしにしない』精神で
自作の曲がSMAPのアルバムに!


 夏といえば枝豆! 元気よく育った枝豆畑で枝豆王冠をかぶってにっこりしている男性は? 人、呼んで「枝豆王子」。う~ん、なんだかわからないけど楽しそうな予感がしますね、お話を聞いてみましょー。

 枝豆王子こと児島啓介さんは、練馬区在住のミュージシャン。ミュージシャンが枝豆って? 一見意外な組み合わせのようですが、児島さんの話を聞いているうちに納得。すべてが一本の道でつながった、彼なりの自然な流れだったのです。

 まずは音楽の道に進んだきっかけから聞いてみましょう。
 「高校時代は落ちこぼれだったんです。先生に『学校に来なくていい』と言われ、そんな時に友達に誘われてバンド活動をするようになりました。いつか先生を見返してやるぞと思い、音楽の道へ進むことを決意。僕の『負けても負けっぱなしにしない』精神は、このころ芽生えたんです」

 バンドはハードロック。髪を切ったことがきっかけで、バンドをクビに! それなら1人でも路上ライブをやろうと原宿に通い始めたものの、ギターケースすら開くことができない日々が続いたそうです。
 「ある日、おばちゃん軍団が長渕剛の曲を僕にリクエストしたんです。できますよ、と言って自分のオリジナル曲を披露しました(笑)。これがきっかけで、路上で歌えるようになりました」

 さらに何年か続けていると、児島さんに転機が訪れました!
 「路上ライブを聴いたレコード会社のディレクターが『その曲、SMAPが歌ったらおもしろいね』と、声をかけてくれたのです。ウソだろう!? って、最初は信じられませんでした」

 こうして、プロのミュージシャンとしてスタートした児島さんは、大手企業のCMに楽曲提供をしたり、ライブハウスでワンマンライブを行うなど、活動の幅を広げていきました。



「大好き!」が突き抜けて
曲もできた、本も出た!


 枝豆の話は、SMAPに楽曲提供をする前のお金のない時代にさかのぼります。
 「ある日、極限状態までお腹がすいた時に、グツグツ煮えている鍋のイメージがわき、『おゆかげん ゆでかげん パーフェクト』という曲が天からおりてきました。そのことを友達に話すと『それって枝豆の歌じゃない!?』と言われて、気が付いたんです。子どものころ、家族団らんの時には、いつも枝豆があったなあ、と」

 家族全員が大の枝豆好き。父親のビールのおつまみに枝豆がよく食卓にのぼり、最後の1個を狙って弟さんといつもバトルしていたとのこと(笑)。
 「この曲がきっかけで、枝豆のことをもっと知りたくなりました。自分で栽培したり、おいしく食べるためのゆで方を研究したりするようになったんです」

 児島さんは全国の枝豆農家を訪ねる旅を地道に決行。その様子をブログに綴っています。出版社への売り込みに成功し、世界初の枝豆本を昨年出版することができました!
 「この中で一番伝えたいのは、枝豆の魅力だけでなく、農家さんがその背中で教えてくれたように、『何かを好きになったらあきらめないでトコトン夢中になってみて!』ということです」

 児島さんはいつでも「農家さん」と呼びます。言葉ひとつにも思いや優しさがあふれていますね。



子どもたちへの食育を展開中
「いただきます!」を届けたくて


 枝豆農家を訪ねるうちに「おいしかった!」の声が届く機会がないことに気付いた児島さん。届くのはせいぜいクレームばかりなんて…。
 「そんな折、保育士さんから枝豆を植えるので子どもたちにレクチャーしてほしいと頼まれました。正直、子どもは苦手だったんです。でも、いざ行ってみたら、子どもたちの方からどんどん声をかけてくれて。名前が覚えづらかったのか、『枝豆王子!』と呼ばれるようになりました。保育園児たちが名付け親なんです(笑)」

 授業の最後に、園児たちから歌をプレゼントされた児島さんは「何だこれは! 子どもたちの歌声にはかなわない」と、圧倒されました。そこから食育の活動をライフワークにしていくようになったと言います。
 「授業の中で、『いただきます!』の感謝の手紙を子どもたちの大合唱の歌声にのせて農家さんに届けるプロジェクトも行っています」

 音楽も枝豆も、子どもたちへの食育も農家への思いも、優しい児島さんの心が育むもの。それぞれが“いのちを慈しむ”という点で、しっかりつながっていました。

●「食育の出張授業」についてはこちら
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(2009年8月1日更新)


長いまつげに華奢な体。
そのソフトな外見からは
想像できない、
ガッツのある児島さん。


ゼロからスタートした
ミュージシャンへの道。
音楽を世に送りだしたのは、
強い信念があったからこそ!
(児島さん写真提供)


ご自身で育てている枝豆畑で。
(児島さん写真提供)


『いつだって枝豆』
5曲入りCD付/青春出版社
1,500円(税込)
枝豆を通して体験することができた
「食」や「いのち」がテーマの本。


取材に協力してくださった
尾崎幸太郎さんの枝豆畑
(練馬区)。
枝豆王子、ことさらうれしそう!


尾崎さんの畑の枝豆。
「取れたては最高!
練馬の枝豆は、甘さが程よく、
名だたる産地のものに
引けをとりません」と、
枝豆王子も太鼓判!


小学校の体育館で
食育ライブをしている様子
(児島さん写真提供)


はじまり はじまめ」や「プチり取る」
など、ことば遊びもお得意!
(児島さん写真提供)


枝豆色の服がトレードマーク!

プロフィール

児島 啓介さん

児島 啓介さん

練馬区在住。枝豆が大好きなミュージシャン。SMAPのアルバムやcanonデジカメのCMに楽曲提供、南青山マンダラにてワンマンライブ活動中。また、全国の幼稚園、保育園、小学校に“枝豆のいのち”を教材として、音楽を交えた食育活動を展開中。『はなまるマーケット』『タモリ倶楽部』にテレビ出演。練馬の好きな場所は、よくジョギングをする光が丘公園。
http://www.kojiman.com/
E-mail  keisuke@kojiman.com

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