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ナイル商会

公開:2026.05.21
著者:赤井恒平

ナイル商会

 

本場インドの香りを届けるカレー粉

創業90年を超える食品メーカー・ナイル商会の看板商品は、スパイスだけで作られたカレー粉インデラカレー。「一般的に家庭でよく使われているカレールーと違って、塩やうま味調味料、小麦粉が入っていない『純カレー粉』と言われるものです。自分好みのスパイスカレーを作れるのが特徴ですね」と、話してくれたのは代表取締役の小泉禎章さん。70年以上にもわたるロングセラー商品の誕生について伺いました。

インデラカレーは、銀座の名店「ナイルレストラン」の創業者A.M.ナイルさんとの共同開発品として誕生しました。当時、A.M.ナイルさんは「日印の友好は台所から」という想いを胸に、日本でインドカレーを出すお店を作ろうと考えていました。ところが、日本に流通していたスパイスは香りが弱く、本場の味を再現するのが難しい。そこで、ナイル商会の初代社長・小泉忠三郎さんに相談し、一緒に本場に近いカレー粉を作ることになったのです。

カレー粉の製造工程はスパイスをホール(原形)で仕入れ、粉状に加工し、混ぜ合わせて焙煎、熟成を経て完成します。それらの工程の中でナイル商会が特にこだわったのが粉状にする方法。一般的には、コーヒーミルのような刃を高速回転させてすりつぶしていくことが多いのですが、それだと摩擦で熱が発生してしまい香りの成分が飛んでしまいます。そこで、きねとうすで叩いて潰す方式を採用しました。手間と時間はかかるけれど、スパイス本来の風味をしっかりと残すことを優先させたのです。

こうした試行錯誤を重ね、2年の月日をかけて誕生したインデラカレーは、ナイルレストランはもちろん、様々な飲食店に採用され、インドの食文化を広く知ってもらうための一躍を担ったのです。

料理の原材料だからこそ「変えない」

料理の原材料だからこそ「変えない」

「インデラカレーは、昭和27年に誕生して以来配合や作り方を変えたことがありません。カレー粉は料理のベースになるものだから変えてはいけないんです。何十年も使い続けてくださっているお客さまのためにも、守り続けていきたいと思っています」と語る、小泉禎章さん。変えない、という想いは品質だけにとどまらず、商品のパッケージにまで及んでいます。ちょっとレトロさも感じる黄色を基調にした可愛らしいデザインは少なくとも昭和30年頃から続いているのだそう。そんなところからも、原材料を作り続ける食品メーカーとしての矜持を感じます。

そんな歴史のあるインデラカレーですが使い方は意外と簡単。スパイスカレーにはもちろん、唐揚げや炒め物、チャーハンなどの味付けにしようするのもおすすめです。こういった幅広い料理に使える秘密は、辛さを控えめにしているから。程よい辛さであれば好みに合わせて使用量を多くしたりと、スパイスの風味を加減できるのです。気軽に使えるインデラカレーから、スパイスの奥深い世界への扉を開いてみてはいかがでしょう。