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五十嵐農園

公開:2026.05.21
著者:赤井恒平

五十嵐農園

 

きっかけは、夏みかんの木

昭和10年から土支田の地で続く五十嵐農園さんは、キャベツや大根をメインに、約40品目の野菜や果物を作っている農家です。その農産物を使って作られたのが、ねりコレ2026に選ばれた「農家の手作りジャム」。いわゆる6次産業(生産者が加工、販売まで一貫して行う産業)の商品です。

 五十嵐まり子さんが「農家の手作りジャム」を作り始めたのは15年ほど前。きっかけは、現在の場所で農家を始めた時から庭にあった夏みかんの木でした。樹齢90年を越える大きな木には、毎年1,000個ほどの夏みかんがなっていたのですが、そのまま食べるには酸味が強すぎたので販売はせず、友人や近所の人に配っていました。するとある日、友人の一人が夏みかんのお礼にとマーマレードを作って持ってきてくれたのです。その味に感動したまり子さんは、今まで見過ごしていた目の前の自然の恵みを加工品にすることを決意。着色料、ゲル剤、香料不使用にこだわり、試行錯誤を重ね、「農家の手作りジャム」第一号、夏みかんのマーマレードが誕生しました。しっかりとした酸味と果実感、そこにプラスされるバランスの良い甘さ。果実だった頃の記憶を残しているフレッシュな味わいは、収穫してすぐに加工できるという強みを最大限に活かしているからこそ生まれるのです。

農家ならではの“食”の届け方に挑戦し続ける

農家ならではの“食”の届け方に挑戦し続ける

現在、夏みかんから始まったジャムは、柚、桃、完熟の柿などバリエーションが広がっています。基本は自家で採れるものを使いますが、あんず、ぶどう、ブルーベリーなど知人の農園のものを使うことも。さらに、ジャムだけにとどまらずシロップ、ピクルス、ゼリーなど、まり子さんの創作意欲は止まるところを知りません。その熱量はどこから生まれるのでしょうか。

「実家が池袋で食堂をやっていたんです。小さい頃から出入りして手伝っていたせいか、食べ物を作りたいという気持ちがずっとあったんです」

嫁いだ後もその想いは続いており、庭先の夏みかんをきっかけに、ついに農産物加工という形で花ひらいたのです。しかし、6次産業を始めるには専用の機械を導入するなど初期投資のハードルがありました。それでも、まり子さんは「農家だからこそできることをやりたい」という強い意志で乗り越えていったのです。

 「今年は鬼柚子のジャムを作ろうと思ってるんです。常にアンテナを張っていて、新しいアイデアを探してます」と、楽しそうに話してくれたまり子さん。次のロングセラーが生まれる日もそう遠くはなさそうですね。