• ねりコレ

アルカション

公開:2026.05.21
著者:赤井恒平

アルカション

 

まるで、フランスの田舎町にあるケーキ屋さん

フランス西部ボルドー地方、ビスケー湾に面した小さな港町アルカション。ここは、その土地の名前を冠したパティスリーです。
「パリにあるような華やかなお店ではなくて、その土地に根付いたお店にしたかったんです」と、話してくれたのはお店で接客を担当している森本理英子さん。そのコンセプトは、パティシエの旦那さんが修行したフランス・ボルドーにあるお店「マルケ」の影響が大きかったのだそうです。

マルケでは、伝統的なお菓子を基本に忠実に作ることと、土地とのつながりを大切にしています。その想いから生まれたのが焼き菓子「デュネット」。フランス南西部でよく採れる松の実を練り込んだアーモンドクリームに、ブドウを原料としたブランデー・コニャック加えて生地で包み焼き上げた大人のお菓子です。可愛らしい三角形の形は近くの観光名所ピラ砂丘をイメージしているのだそう。地域の特産品を使い、土地の風景をイメージさせるデュネットは、スペシャリテ(看板商品)としてフランスで特許を取得しているのです。

練馬区のアルカションもその精神を受け継いで、伝統や歴史を大切に、良い素材を使って基本を守って作ることを心がけています。例えば、人気のカヌレは、外側はしっかりしているけれど中はとろけるような食感で、ラムの香りもしっかりと感じられる逸品。その食感を出すために材料は一気に手早く混ぜる、焼き加減は状態を見ながら都度調節するといった、フランスの伝統的なレシピに忠実だからこそ生まれる美味しさなのでしょう。そんな真摯な姿勢が認められ、世界中で唯一、アルカションはデュネットを作ることが許されているのです。

100年愛されるお店を目指して

100年愛されるお店を目指して

アルカションの店内には、お菓子以外にもパンやキッシュが並んでおり、注文するとバゲットを使ったサンドも作ってくれます。それは、甘いものが好きな人も、そうでない人も気軽にお店に立ち寄ってもらいたい。地域の人たちに喜んでもらえるお店にしたい、という想いから。取材中も年代性別を問わず様々な方が来店されていました。保谷にお店を構えて20年、アルカションはこの場所になくてはならないお店として、しっかりと根をおろしているのです。

 「そうそう、昔うちで働いてくれていた人が、2人も結婚して独立したんですよ!すごいことですよね!」と、嬉しそうに理英子さんが話してくれました。アルカションが培ってきた「土地に根付く」という考え方は、少しずつですが日本中に広がっています。もし、自分の家の近くにこんなお店があったら、確かに幸福度がアップしそうですね。