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和菓子 大吾

公開:2026.05.21
著者:赤井恒平

和菓子 大吾

 

住宅街にひっそりと佇む和菓子の名店

大泉学園駅からバスに乗り、桜で有名な大泉学園通りを進むこと約10分。決してアクセスが良い場所とは言えないところにも関わらず、平日昼間でもお客さんが引きもきらない「和菓子 大吾」。店内には、季節を表現した美しい上生菓子をはじめ、贈り物にぴったりな品の良い和菓子や、定番のどら焼き、一本から買えるお団子までずらりと並んでいます。中でも創業当初から作り続けている看板商品の「爾比久良(にいくら)」は、来店されたお客様の半数以上が買われていくのだとか。その立地に負けない人気の秘密を探るためお話をうかがってきました。

 二代目の大草慎二さんはこの道30年の和菓子職人です。大学では経営を学び、その後製菓学校で和菓子の基礎を習得。卒業後、すぐに家業に入り和菓子職人としての研鑽を積みました。大学に行ったということもあり、ほかの和菓子屋さんで学ぶ機会を作れなかった大草さんは、自らの技術と独創性を磨くため日々の仕事が終わった後に自分の作品を作り続けました。そして、毎月「東和会」という和菓子の団体に作品を出品。その時に手に入れた経験が職人としての糧となったのです。その頃のアイデアスケッチは今でも大事にとってありました。

すべての商品に独自の工夫を

すべての商品に独自の工夫を

30年という時間をかけて培われた技術とアイデアは「和菓子 大吾」のお菓子すべてに活かされています。例えば、お団子は通常米粉から作りますが、大草さんはコシヒカリを毎朝炊いて米から作ります。そうすることで、お米がもつ本来の甘味が味わえる美味しいお団子になるのです。

 また、ねりコレに選ばれた「美山づと」にも大草さんならではの一工夫が。茶巾に包まれた手のひらサイズの「美山づと」は、栗の餡をもっちりしたこなし生地(餡に小麦粉を混ぜて蒸したもの)で包んだ季節のお菓子です。数年前にこれに使う栗を鮮度の良い練馬産のものに切り替えました。そうすることで、季節限定にはなってしまうけれど、旬の味と地元愛にあふれた一品となったのです。ちなみに「山づと」とは「山からの贈り物」という意味。日本の美しい四季や自然の恵みが感じられますね。

「お店の規模を大きくしようとは思っていません。わざわざ来てくれる価値のあるお店にしていきたいんです」

 と、笑顔で話してくれた大草さん。美味しさを求めて手間を惜しまず作られたここでしか出会えない和菓子を求めて、今日もたくさんのお客さんが来店しています。