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天の紅うつろひやすし曼珠沙華　山口誓子
曼珠沙華はサンスクリット語で天上に咲くという花の名。仏教に天人五衰という語があり、天界の天人すら死の直前には五つの兆しが表れるという。曼珠沙華も死を迎えるにあたり、その美しい天界のもののごとき紅もあれよあれよという間に容色の衰えが現われて終末を迎える。
ちなみに、三島由紀夫最後の長編豊饒の海最終第4巻の題は｢天人五衰｣。三島はこの最終巻入稿の昭和45年11月25日に市ヶ谷駐屯地で割腹自殺して果てた。